電力自由化後の新電力は災害時の課題や復旧に差はあるのか?


電力自由化となった現在では、賃貸や持ち家などどんな形態の住宅に住んでいても電力会社を選ぶことが可能です。このような状況の中、地震や台風などの災害に遭うことが多い日本では、突然停電になることも少なくありません。災害時における停電後の復旧には、新電力と、東京電力をはじめとする旧一般電気事業者との間に差はあるのでしょうか。

また、新電力の持つ課題についても気になるところです。今回は東京電力、新電力の楽天でんき・エネオス電気、太陽光発電を比較して考えてみましょう。





新電力会社によって災害時の復旧に差はない

結論から言えば、契約先が東京電力でも新電力であっても災害時の復旧速度は同じです。

また、停電のしやすさ・しにくさについても、同じだと考えましょう。なぜなら、どの電力会社と契約をしていても、使用する送配電網は同じものだからです。災害時には、契約先の違いによって電気を送るスピードが意図的に変えられてしまうということはありませんのでご安心ください。

一方、太陽光発電を併用している場合は例外になります。災害時の停電では太陽光発電を「自立運転モード」にすることで、いつも通り電気を使用することが可能です。災害による停電時に対する課題としては、結局のところ電力会社に頼るだけでなく、太陽光発電も行っておくことがベストだと言えるでしょう。



売電と送配電は別!電力自由化の仕組みを知っておこう

電力自由化の仕組みは以下のようになっています。電力会社の違いがあっても復旧速度に変わりがないのは、電力自由化によって契約は自由になったものの、送配電網の管理や保守については前任者である旧一般電気事業者(東京電力等)が現在も行っているためです。

新電力は送配電網の管理や保守への手数料を東京電力などへ支払うことで、新電力会社として顧客と契約を結び、利益を得ることが可能となります。電力が供給される仕組みを考えてみると分かります。発電(電気を作る)と送配電(送配電ネットワークの管理)、そして小売(契約)という3大部門に分かれていますが、電力自由化で新電力の参入が可能となったのは発電部門と小売部門の2つのみとなっているのです。



もちろん新電力会社同士でも差はない

ここで、楽天でんき・エネオス電気などをはじめとする新電力同士では災害時の停電で復旧スピードに違いがあるのか気になる人も多いでしょう。新電力会社同士で比較してもやはり差はなく、どの会社を選んだとしても災害時の復旧に損が生じるということはありませんので安心です。

電力自由化による会社選びでは、自分たちの暮らしに合った最安値の料金プランがあるかどうかをベースに考えることになります。また、携帯電話など他の契約との割引設定があるかどうかも、会社選びの際のポイントです。電力会社にとっての課題は、他の会社と比較し、多くのユーザーにとってより魅力的なプランを掲げているかでしょう。中には、基本契約のアンペア数によってお得なプランを設けている会社もあります。



停電時の送配電状況は各地域の大手電力会社のホームページを確認しよう

地震や台風など災害が発生して停電となってしまった時は、契約先が楽天でんきやエネオス電気などの新電力会社の場合でも、東京電力などのホームページをまず見に行きましょう。

送配電部門を保守している各地域の大手電力会社では、風によって樹木が倒れたり、動物により電線へ影響が出たりといった停電の原因についての情報を随時アップしています。

状況把握と復旧の目安が整い次第、さらに情報が更新されていきますので、たびたびチェックすることをおすすめします。電力自由化の仕組みを知っていれば、突然停電が起こっても焦ることがありませんし、原因や復旧の目途についてもどこで最新情報を得ることができるのかが分かりますので安心です。

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