電気代高くなった?託送料金って何?


発電事業者が小売電気事業者に電気を売る際に受け取るのが「発電料」です。小売電気事業者が消費者に電力を送る際に支払う費用を「託送料金」と言います。電力を送るためには送配電ネットワークを使用するので、その利用料金が必要なんですね。

すべての電力会社はこれを支払う義務があります。託送料金は必要経費として電気料金に含まれ、それを消費者は支払っているのです。ということは託送料金が高くなったら、電気料金も上がるということになりますね。電力自由化後の電気料金を知るには、託送にかかる料金や今後の動きについても理解するのが大切です。これからまた電気代が高くなった時には、そのカラクリが見えてきますよ。

電力自由化と関係ある?電気代高くなった?託送料金って何?




託送料金って何?

小売電気事業者は消費者から電気料金を受け取る一方で、発電事業者には「発電料」を支払っています。送配電事業者には電気を運ぶための費用である「託送料金」を支払っており、手元に残ったものが「営業費」と「利益」になります。

家庭向けの電気料金の場合、託送料金の占める割合は30~40%程度です。これは電気料金に必ず上乗せされるものなので、電力自由化後に電気代が高くなったと感じた人も多いと思います。託送料金が高くなったことにつられて、電気料金も高くなったのです。

電気代は生活する上で必要不可欠の費用なので、なるべく低く抑えたいですよね。そのための電力会社選びや使用プランを検討するにも、今後はこの託送にかかる費用について知っておくのがいいでしょう。



パンケーキ問題はガス自由化では問題だが、電力では解消済み

電力自由化の以前には、電気や都市ガスは居住地によって購入先が決められていました。しかし2000年から電気については一部で自由化がスタートし、他エリアからも買えるようになりました。

電力自由化により遠方からの電力供給も可能になりましたが、ここでひとつ問題があります。供給エリアをまたぐたびに「振替供給料金」という費用が上乗せされていたのです。

エリアを越えるたびに繰り返し「振替供給料金」が課せられる仕組みなので、結果遠方から購入すると割高になっていました。この仕組みのことをパンケーキが重なる様子に例えて「パンケーキ問題」呼びます。

パンケーキだなんて美味しそうな名前ですが、内容は全く違うのですね。せっかくの電力自由化の利点を阻むこの仕組みは問題視されていましたが、電力については2005年に解決されました。ガスにおいてはいまだ変わらぬ状況となっています。



託送料金はレベニューキャップ制度でどうなる?

2020年6月エネルギー供給強靭化法が成立し、欧州を参考にしながら「レベニューキャップ(収入上限)制度」が導入されました。レベニューキャップというのは、コストダウンの成果を事業者の利益として認め、そのことにより事業者に有益な経営へのインセンティブを与える制度のことです。具体的には料金の上限を定める「プライスキャップ制度」や、収入上限を定める「レベニューキャップ制度」があります。

レベニューキャップへの移行は2023年に予定されています。これに関わる法制の詳細については2021年にとりまとめられ、省令改正等を経て2022年からレベニューキャップを軸にした、新たな料金審査が行われる予定です。

これまで託送料金は消費者と小売電気事業者側が負担してきましたが、これ以降は発電事業者も負担します。消費者にとっては託送料金が含まれる電気料金が、どうなっていくのかが気になるところですね。



廃炉円滑化負担金で託送料金ががる?

日本のエネルギー政策の中で、大きな議論を呼んだものが2020年10月に始まりました。福島第一原発事故の賠償負担金と廃炉円滑化負担金が、託送料金に上乗せされるのです。議論が起こったのも当然で、これらは本来であれば、東京電力と原子力事業者がその責任において負担すべきものです。しかしながらこの費用を消費者が負担させられることになりました。賠償負担金も廃炉円滑化負担金も2020年10月から託送料金として消費者から回収されることが決まり、すでに始まっています。

託送の料金というのは、電力を送るために使用する「送配電ネットワーク」の利用料金のはずですが、誰かが負担しなければならないとはいえ、賠償負担金と廃炉円滑化負担金まで払わされるとはスッキリしない話です。

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