電力会社の切替方法と注意点について

 新たな電力会社に契約を変えるためには、切り替え先への申し込みとスマートメーターの設置を要します。切替手続きにはお客様番号と供給地点特定番号の提示が必要となります。


電力会社の切替方法と注意点について
年間の電気料金を大幅に節約できる可能性
電力会社の具体的な切替手順
手続きの際に注意すべき点
今後も増えると予測される選択肢


★年間の電気料金を大幅に節約できる可能性

 2016年4月に一般家庭向けの電力小売自由化がスタートしましたが、現時点ではまだ様子見の人も少なくありません。地域によっても競争の激しい地方とそうでない地方にかなりの差が見られます。地域によっては従来の大手電力会社と契約した場合よりも、年間でかなりの額の電気料金が節約できるケースも出ています。電気料金そのものが安くなるプランに加え、業者によってはさまざまな独自サービスとの組み合わせで料金が得になる場合もあります。ガソリン業界やガス業界の他にも通信業にレンタル業・旅行業界など、多種多様な異業種からの新規参入例が相次いでおり、競争の激しい地域の住民ほど多彩な選択肢から好みのプランを選べるようになっているのです。対抗する大手電力会社も従来より割安となる料金プランを打ち出してきています。長年にわたって地域の電気供給事業を行ってきた実績を背景に、時間帯別や使用状況に合わせて電気料金が得になるプランに強みを見せているのです。


★電力会社の具体的な切替手順

 今後新たな電力会社へと契約先を切り替える際にはいくつかの手順を踏む必要があります。と言ってもそれほど難しいことではありません。最初にすべきことは、切替先業者への申し込みです。それぞれの業者によって方法は異なりますが、電話や郵送の他に インターネットからの申し込み に対応している業者もあります。現在の契約先に対しては解約することになりますが、 切替先の業者が解約手続きも代行してくれる ケースが多くなっています。申し込み後には必ず スマートメーターの設置が必要となります。これは電気使用量をデジタル方式によって検針できる装置で、通信機能を持っている点が大きな特徴です。そのため係員が自宅まで検針に来る必要がなくなる上に、現在の電気使用量をリアルタイムに知ることも可能になります。 スマートメーターへの交換そのものには費用が発生しませ んが、工事費用がかかる場合もあります。電気そのものは従来の送電網をそのまま使って供給されるため、それ以外の工事は必要ありません。しかし、この 工事費も無料でおこなってくれるPPS(新電力会社)が多い です。


★手続きの際に注意すべき点

 スマートメーターの設置が終わってもすぐに契約先の切替が行われるわけではありません。切り替わるまで設置から通常2週間ほどを要します。すでにスマートメーターを設置してある住宅の場合なら、 4日程度で新たな業者からの電気供給が開始されます。大手電気会社では2014年頃から順次スマートメーターの導入を開始しており、概ね2023年頃まで設置を完了する予定となっています。申し込み手続きの際に注意しなければならない点は、現在の契約先のお客様番号と供給地点特定番号という2つの数字の提示が必要になることです。それらの番号は電気使用量を表示した検針票に記載されている他、電気会社のウェブサイトで会員登録している人はサイトでも確認できます。検針票の発行を受けていないケースでは領収書に記載されています。万が一それらの番号がわからない場合でも、現在の契約電気会社に問い合わせれば教えてもらえます。そうした手続きを経て新たな業者からの電気供給を受けることが可能になります。


★今後も増えると予測される選択肢

 2016年4月のスタート時点では新電力会社の地方進出もまだ道半ばといった状況ですが、今後は多くの企業が全国各地の地域に新規参入するものと予測されています。首都圏を中心とする大都市周辺でも、まったく新しい企業が電気供給市場に登場してくる可能性があります。こうして制度が変わったことにより、今までになかった市場が生まれつつあります。目に見えない電気という商品にさまざまな付加価値をつけて売り出すという手法は、大げさに言えば日本経済を活性化させるための切り札にもなり得るのです。この新制度も今は始まったばかりです。すでに切替を果たした人でも、よりいっそうお得な料金プランやサービスが登場すればそちらの方に魅力を感じるかもしれません。選択肢はこれからも増えると予想されるのですから、市場動向を見極めた上で契約先乗り換えも視野に入れておくべきです。そのような最新情報は新聞の経済欄の他、インターネットの比較サイトなどでも知ることができます。