送配電分離って何?送配電分離のリスクやメリットは?


以前は電力の供給は、全国地域別の大手電力会社が独占してきていました。この事により、価格競争が阻害され電力料金の高値どまりの原因となっていました。

また、独占企業である事から再生可能エネルギーなどの導入についても消極的でした。この様な事から、電力自由化法案が経済産業省などの肝いりで提出され法的な整備が行われてきていますが、その最終弾となるのが送配電分離です。ここでは、この電力の自由化についてわかりやすく説明します。





現在は発電と小売りのみが自由化

電力自由化というと、テレビなどではかなり前から報道されていてもう終わった問題の様な気がしている方もあるかも知れませんが、様々の社会的な変化が起きるとされる2020年問題に対処する意味でも、経済機構改革が必要とされていました。

既に多くのみなさんがご存知の電力自由化の動きとしては、経済産業省の肝いりで法案整備が進められ実現しましたが、最初に行われた電力広域的推進機関の設立です。それまで各地方ブロックごとに行われていた電力供給を広範囲で総合的に行うものです。

次に出てきたのが新電力などので記憶に新しい電力発電や小売の自由化です。これにより様々の業種から参入があり、再生可能エネルギーの普及などにも役立っています。しかし、ここまでの段階でまだ手がつけられていない部分がありました。それは、送配電分離です。現在、この送配電分離について最終弾とした整備が行われています。



送配電の自由化って何?

送配電分離とは、これまで行われて来た電力発電や小売の自由化を更に進めたものです。電力発電や小売の自由化で、それまで大手電力会社が独占していた電力発電や小売に関し、再生可能エネルギー導入などの改革が行われました。

しかし、電力の送電については依然として大手電力会社が独占した状況があり、新電力は送電には大手電力会社に依頼するしかありませんでした。この事が自由競争を阻害する要因となっていましたので、経済産業省はこの送電にも自由化を行う送配電分離を電力自由化法案に入れました。送配電分離とは、大手電力会社の送電部門を幾つかのタイプで切り離す事を行い独立化させ、電力自由化を推進するものです。この送配電分離の方法には、法的分離や会計分離、機能分離や所有権分離などがあります。



目的は送配電部門の中立性

この様な送配電分離は、電力発電や小売の自由化後も大手電力会社が独占していた送電部門を電力会社から分離して中立化させる事で電力自由化を一層進めるものです。

送電部門が大手会社に所属している状況では、送電部門も電力会社の利益にそぐう形で運用されますので、新電力にとっては大きな障壁となっていました。形態としては、法的分離や会計分離、機能分離や所有権分離などがありますが、いずれも目的は、送電部門を大手会社の経営から引き離す事です。

これにより新電力と大手電力会社が対等に競争できる環境が整い、真の意味での電力自由化が実現します。この事をわかりやすく説明する事はなかなか難しいのですが、2020年問題への対処を行うには強い経済構造を作る必要があり自由競争は必須です。



リスクは停電時と離島や山間部

ここまでのところまでで、送配電分離につきできるだけわかり易く説明を行ってきました。今後の電力供給がどうなるかで、日本の経済構造がどうなるかが決まるので非常に大切な事です。

ただ、完全な電力自由化についてのリスクも述べておかなければなりません。2020年問題は、高齢化や人口減少の問題もの含んでいます。これらの問題は地方の過疎化が進む事を意味するのですが、経済原理を優先するとこの様な地域への電力供給が疎かになる事になりかねません。この様な問題をどうなるかにつていても十分に議論する必要がありますが、この議論は全国的にわかりやすくしなければなりません。さもなければ大きな社会問題を引き起こす事になります。

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