電力自由化で電気の価格推移はどうなっているの?


電力自由化が実現されてからしばらく経過しましたが、実質的にどう変わったのかわからない人も多いのではないでしょうか。統計としてデータが出ていても、見るポイントが難しいかもしれません。そこでより実感の掴みやすい価格推移から、その変化を考えてみましょう。

電気料金を決める要素は数多くあり、その理由もまとめて考えると把握しやすいです。そうして理解すると今の契約を見直して、より効率的な電力環境を築くきっかけになる可能性があります。





自由化以降大手電力会社よりキロワット当たり1円新電力の方が安い

電力自由化か解禁されて実際に取引が始められた2016年9月の調査統計では、大手の電力会社の価格がキロワット当たり22円前後であるのに対して、新電力は1円安い約21円です。その統計は月ごとに取られたためそれぞれ上下はしますが、2018年中期まで全体的な価格推移は平行線を辿っています。

電力自由化に伴って価格を自由に決定できるようになったため、比較対象となる大手は価格競争が浸透するまで経過措置料金、いわゆる規制料金に設定されています。しかしその規制料金も2020年段階では撤廃される見通しが立っていません。したがって新電力の方が安い状況が覆る可能性はまだ低いと考えられます。ただ規制料金の段階でも、両者の価格がそれぞれの中間に近づく傾向にはあります。



電気料金は制度改革前の1944年よりは大幅に安くなっている

小売に関する電力自由化の前段階として、1995年には発電部門の自由化が解禁されています。電気を作ることに関して原則的に参入が自由で、競争原理が働くようになりました。そして価格競争によって1994年から全体の電力価格推移が毎年下がり続け、2005年・2006年度では全体でキロワット当たりが最低の15.8円を記録しています。またそこに至るまでの間に、事業などで使用する高圧の電力は自由化されています。

2007年度からは上昇する年もありますが、燃料以外の利用目的で見てみると、2017年度時点でキロワットが11.7円です。1994年の段階では17円だったことに比べると、大幅に安くなったと考えて良いでしょう。



近年電気の価格は上昇傾向

下降の一途を辿っていた電気料金が上昇し続ける流れとなったのは、2012年度からです。東日本大震災によって、電力供給の大部分を担っていた原子力発電所が全て稼働停止となったのが大きな原因です。そうして少なくなった電力で賄うために、節電が広く訴えかけられたり計画停電が行われたことは、大勢の人の記憶にあるはずです。

当然電力への需要に対して供給が下回ることになるので、価格が上昇しました。特に全体で見ると上昇の傾向にあり、安定あるいは下降の流れになる確実な見込みはありません。原子力発電は所々で再稼働しているものもありますが、未だ新しい適正基準への申請中であったり、申請にも至っていないものが多いのが現状です。



料金メニューは8倍、ガスとのセット割りなど多くの選択肢ができた

電力自由化に伴った価格競争に打ち勝つため、事業者はそれぞれ様々なプランを提供しています。基本料金に加えて従量で増えていく二部制であったり、電力を使わない月に最低料金を設定するなど多種多様です。その数は非常に多く、2016年時点では168程度だったものが、2年後の2018年では1319という約8倍となっています。

またその中には他のエネルギーとのセット割りプランも多く、まとめて契約するとお得になるかもしれません。セット割りではガスとの組み合わせが多いですが、他にも通信や灯油などの選択肢もあります。そんなセット割りも含めて前向きな捉え方をすると、より細かなニーズに無駄が少なく応えやすくなったと考えられます。