電力自由化で注意すべきは新電力会社のプランの契約期間と違約金


 電気・ガス・水道のライフラインサービスが、電力自由化以前長く地域ごとに供給会社が指定されていたのは、安定供給が義務付けられる公益・公共性の一面があったためです。
 しかし、利用者の利益は一社独占よりも価格・サービス競争によって実現されることを期待して電力自由化が導入されました。
 一方で、アメリカの巨大エネルギー企業だったエンロンは、利益優先で安定供給を維持できなくなって破綻してしまいました。安定供給を守りつつ価格を下げるには、顧客数の見込みが立ちやすい契約期間の縛りが経営にも有益です。
 そこで、契約期間をあらかじめ約束した顧客を優遇しつつ、違反した場合はペナルティとして違約金を設けています。




契約期間内の解約に違約金を設定している新電力会社がある

 電力のようなインフラサービスには配管や変電設備のような設備投資と維持管理が不可欠です。
 商品販売ではモノを売るには仕入れが必要なので売上と原価は相関性が高いですが、インフラのような設備投資型事業では、売上と直接相関性のある原価以外に、固定費は顧客が増えるほど費用を抑えることができます。
 そのため、電力自由化によって新規参入した電力会社による契約期間の縛りは、単に顧客の囲い込みを図るものではなく、より安さを追求するための合理性があることがすくなくありません。
 あらかじめ契約期間を約束することで最安でのサービスを受けるので、期間中の乗り換えはペナルティとしての違約金を生じてしまいます。逆に言えば、違約金を設けている電力会社は顧客サービスを追求した結果と言い換えることもできます。


違約金ってどの位?幾ら?

 違約金は、電力会社にとっては採算分岐点を左右する顧客数の見込みをたてるために行っていますが、公共サービスとしての一面もあるため携帯電話やインターネットサービスの乗り換えに比較すると低額です。
 電力自由化で参入したソフトバンク・au・スマ電・ENEOSでんき・HTBエナジーなどの新電力会社の中では、ENEOSでんきが通常プランでは0円、二年縛り契約の途中解約では1,000円かかります。そのほか、HTBエナジーの場合は契約期間の縛りではないですが、導入から1年以内の解約の場合に2,000円の違約金がかかります。
 中には10,000円を超える違約金の会社もありますが、違約金なしのプランと、違約金がある代わりに継続する人はより安い価格を選択できる場合もありもます。"


東京電力管轄地域で違約金を設定している会社はどこ?

 東京電力管轄地域内の新電力会社はソフトバンク・au・スマ電・ENEOSでんき・HTBエナジーなどがありますが、多くの場合は最低利用期間以内の解約には必ず違約金がかかります。
 これは、せっかく乗り換え優遇キャンペーンなどで顧客を獲得してもすぐにまた別会社に移ってしまい、その都度特典をゲットする渡り鳥を予防する狙いですが、スマ電では6か月・ソフトバンクのスタンダードプランやauでは一年・他の会社でも1年から2年の間で設定されています。
 もう一つは、最低利用期間とは関係なく携帯電話の長期契約のようにあらかじめ利用期間を約束することで寄りやすい価格帯で利用できるものですが、ソフトバンクで最安料金のプレミアムプランでは5,000円、他の多くは1,000円から2,000円の費用が掛かる反面、初めから違約金なしのプランを選ぶこともできます。


スイッチングする前に必ず、違約金の内容を確認しよう

 電力自由化で選択の幅は広がっても、電気の契約は安定供給が何よりも大切です。
 新電力会社も送電・配電網は既存の電力会社から借りて運営しているため、電力会社を変えたからと言って供給に不安を生じることはありません。
とはいえ、日常に不可欠な電気料だからこそ、変更することはできても完全に辞めることはできません。
 そこで電力会社を変更する場合は毎月のランニングコストと、乗り換え時のキャンペーンなどの短期的なメリット、将来変更する場合に違約金なしで変更できるかなどの長期的なコストを比較検討することが大切です。
 また、その際には他社への乗り換えに限らず、引っ越しなどのやむを得ない事情でも電気の契約そのものをやめる場合でも違約金がかかるか確認しておくと安心です。