電力自由化での切り換え率はどの位?


電力は以前は東京電力等の大手電力会社の独占状態でしたが、現在は電力自由化により新企業の参入も相次いでいます。切り替え率の伸びも全国規模で目覚ましく顧客獲得競争は激化していく様子を呈しています。

東京電力や北海道電力といった大手電力会社から新企業に変更する切り替え率も高まっていますが、新企業から新企業へ変える流れも増加してきました。今回は、そんな電力自由化の現状について、全国規模と地域規模に分けてポイントを3つ程述べていく事とします。





1,141万件も大手電力会社から新電力に切り替えている

電力自由化になった現在、2019年9月時点で新電力が全体に占める割合は約15,8%であり、家庭用電力等の低電圧に絞った場合は16,7%になっています。東京電力等の大手電力会社やその子会社の域外進出も4,1%に至っており、新電力への切り替え率は増加の一途を辿っています。

2019年9月の時点で、この割合を件数で計算すると新電力への切り替え総数は約1,141万件を記録しました。ちなみに、大手電力会社の中で規制がある従来のプランから、電力自由化で出て来た新プランへの切り替えも盛んになっており、その数も約663万件となっています。両者を合わせた場合は、約1,804万件であり、この事からも電力自由化競争の激しさが伺えます。勿論、この動きの中で新企業から大手電力会社提供のプランに乗り換える動きも出ており、此方は44万件にもなっています。



東京電力・北海道電力管轄地域では20%の切り換え率

東京電力や北海道電力管轄地域に絞って見た場合は、2019年9月の時点で東京電力が20,5%、北海道電力が21,1%に至っています。これは工業用や家庭用等に使われる全電圧込みで計算した場合であり、分野別に絞って見直すと、特に家庭用等で多用される低電圧部門での乗り替え率が高めという事が伺えます。

他にも加速の流れを示す裏付としては、電気小売事業者の増加率が挙げられます。2016年4月の時点では電気小売事業者は登録が291件であり事業承継件数は0で廃止は2でしたが、2019年12月時点では、登録件数は630件、事業承継62、廃止は16ともなっています。事業者数だけでも2倍以上になっており、事業承継や廃止が増えた事からも競争が激化している事が読み取れます。



関西・東北・四国・九州・北陸・中部電力エリアは10%以上

東京電力以外の関西や東北等他の大手電力会社の管轄地域でも、乗り替えの流れの加速は例外ではありません。関西では17,5%で東北は13,5%、四国は13,3%で九州12,5%、後は北陸12,1%と中部11,1%と続きます。何れも2019年9月の時点のデーターですが、東京電力と北海道電力の20%台に迫る物があります。

こういった乗り替え率拡大の流れの理由は幾つか考えられますが、最も響いたであろうポイントは2017年9月~2019年8月の直近2年間の低圧における通常の料金と新電力の料金の平均に確認出来ます。新料金の方が格段に安く推移している事がハッキリ出ています。低圧は一般家庭で使用される事を中心としており、時期によっては余り差が無い事も無いではありませんが、大きく開く時期も出ており、家計の節約や利便性の面から考えれば切り替える事を考える人が増えるのも当然の帰結と言えます。



新電力から新電力へのスイッチングも113.3万件

電力の切り替えは、東京電力等の大手から新企業へ変える動きだけに留まらず新電力から新電力へ切り替える動きも盛んです。2016年4月~2019年9月末までの切り替えデーターで、特にその差が大きく確認出来ます。当初の2016年4月時点は0だった物が10月以降に少しずつ増加を開始し、2017年4月末で1,8万件となり、1年後の4月末には24,4万件へ急拡大して、2019年9月末には113,3万件にまで拡大する事になりました。伸び率が1年単位で倍以上増えており、電力自由化市場の急速な拡大がこういったポイントからも伺い知る事が出来ます。

ちなみに、新電力から大手企業への乗り換えの逆パターンのデーターもあり、此方の方では2017年4月末の時点で約1,3万件だった物が、2019年9月末で43,7%になっています。これは、大手電力会社のプランを改めて見直してみて利便性に気付く場合があるとも考えられますので、電気代を安く抑えたい人等はチェックしておくべきポイントと言えます。

※出所、資源エネルギー庁「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について 」2019年12月26日から引用抜粋