マンション高圧一括受電とは?新電力に切り換えできない?


電力自由化によって、消費者は自分で電力会社を選べるようになりました。これまでは、住んでいる地域によって、契約する電力会社が決まっていましたが、今は料金や発電方式などを比較して契約できます。

そうした比較をした上で、新電力に切り替えようと思ったとき、それが出来ないケースがあります。それがマンション高圧一括受電といって、マンションがひとつになって電力会社と高圧契約を結んでいるときです。

現在マンションに住んでいる人も、これから物件を買おうと思っている人も、生活の要である電力のことですからしっかりと学んだほうがいいです。





マンション一括受電って何の事?

マンション一括受電というのは、多くの世帯が住んでいる集合住宅で、電力会社との契約を個別ではなくすべての世帯でまとめて行うことです。各世帯で契約をするときには、使う電力の量が少ないので送電される途中でいくつもの変電設備を経て低圧電力で届きますが、マンション単位で契約をするときには共有部分も合わせてかなりの電力が必要になるのでまとめて高圧電力で送ってもらい、マンションの変電設備で各世帯に分けることができます。

高圧電力契約にすると送電コストの削減ができて、その分電気代が安くなります。おおよその目安ですが、低圧だったときに比べると2割から3割くらいは安いです。したがって、マンションの住民全体に恩恵がもたらされます。もちろん、契約をするのは誰が勝手にできることではありません。管理組合で最初に話し合いをして、すべての世帯から合意を得ることが前提です。



電力自由化!スイッチングしたいが一括受電の場合切り替えられない?

一括受電で契約をしている場合には、電力自由化になったからといって新電力に切り替えることはできません。その理由は、契約は管理組合で意見をまとめて行っていますから、一戸だけが抜けて新電力になることが出来ないためです。

しかも、契約期間は一般的に10年から15年というとても長い期間が設定されています。そのため、電力自由化になる直前に契約の更新を行ったときには、それから10年以上は新電力への切り替えができません。

管理組合で意見を合わせて解約を決めたとしても、残りの契約期間に応じた違約金を支払うことになります。各世帯で電力会社を契約しているときには、解約時に違約金を支払う必要がありませんが、一括受電では長期契約を前提として、スマートメーターなどの機器の設置や修理などの諸費用を電力会社が負担しているので、その損失を埋めるためです。違約金の支払いをすれば、新電力への切り替えをするメリットが薄れます。



住んでいるマンションやアパートが一括受電か調べ方

電力自由化で新電力に切り替えたいと思うけど、自分が住んでいるマンションやアパートが一括受電で契約をしているのかわからないときの調べ方は、まず電力会社から検針票が届いているのかどうかを確認してみましょう。

個別に電力会社から検針票が届いているのであれば、まず間違いなく個別契約です。ですから解約したいと思ったら自由にできます。そうではなく管理会社から電気代の明細が届いているならば、一括受電の可能性があります。それでもよくわからないときの調べ方は、マンションであれば管理会社や管理組合に、アパートは大家や不動産会社に問い合わせればはっきりとわかります。

また一括受電はある程度の戸数がなければいけないので、戸数で判断する調べ方もあります。電力会社から検針票が届いているならば、そこに書かれているお客様番号を使って、電力会社に問い合わせれば個別契約であると確認できます。



マンションやアパートオーナーなら高圧一括受電がお得

電力自由化になれば、新電力にすればあらゆるケースでお得だと思っている人が多いですが必ずしもそうではありません。ある程度のマンションやアパートのオーナーであれば、高圧一括受電で契約したほうが大得です。

なぜなら、高圧一括受電をすれば料金が通常よりも安くなるので、共有部分のエレベーターや廊下の照明などに使う電気代もまとめて割引されます。電気代が安くなれば、それだけオーナーの負担も少なくなりますから賃貸経営が安定します。

それに、新電力に切り替えると定期的に設備点検のために停電が発生したり、災害時に電力が供給をされないのではないかという不安もあります。そんなネガティブなイメージが物件についてしまうと、入居者を見つけにくくなります。なので、電気代を下げ、空室リスクも抑えられる高圧一括受電はお得です。