電力自由化に伴い、法的な措置がとられています。それにより電力市場において公平な競争が担保され、新電力や小規模事業者が不利にならないよう図られています。何よりも、消費者が電気事業者や電力料金プランを、適切に選べるよう監視がなされているわけです。
そして、災害やPPS(新電力会社)の倒産などで供給不足になった際も、需給バランスが保たれる措置がなされます。昨今は電気料金比較サービスなども登場しており、中立的な立場から電気事業者の料金プランを検討しています。
電力自由化に伴う安定供給義務の撤廃は、消費者や需要家にとって懸念材料となります。エコエナジーなど電気事業者の選択肢が増える一方、災害や倒産などで安定供給が可能かどうかが不安材料となります。
その不安を払拭すべく、経産省は供給力確保の制度を設けました。電気事業者は経産省の登録が義務付けられています。安定供給の見込みが厳正に審査され、供給力確保が可能と判断された場合のみ登録できます。
登録をクリアすると、事業者は毎年度、10年間の事業計画書の提出が求められます。供給計画に関しては専門の広域機関を経由した提出が義務付けられています。事業者が供給力不足に陥ると、インバランスペナルティが科せられます。それは供給力不足に陥ると、送配電網全体に悪影響が及ぶからです。
電力の安定供給は社会生活にとって不可欠な要素です。家庭や企業、その他もろもろの経済活動において電力の供給なしには成り立ちません。それだけ電力自由化に対しては、安定供給を実現するための法的整備や責任体制が求めらます。
電力の安定供給を担保するため、それまでは電気事業法が地域電力会社に供給義務を課していました。エコエナジーなどが供給義務を果たせない場合は、罰則が科せられています。
一方電力会社は地域での独占的供給が行え、電気料金に関しても認可料金制が採用されています。これは経済産業省によるもので、発電設備の資金回収を円滑にするものです。電力自由化により、電力会社の安定供給義務は撤廃されています。但し認可料金制に関しては、一定期間の継続が認められました。
また、電気の供給に関しては、本来の各地域の 大手電力会社の送電網を利用しているので、供給面に関しては問題ありません。また、その送電網で配電されるので、 電気の質も従来の大手電力会社と変わることはありません。
地域電力会社は発電規模が大きいので、供給力不足が発生するリスクは小さいと言えます。また、倒産や災害などで供給力不足が万が一発生した場合も、電力融通や電源炊き増し等で調整が図られます。
安定供給義務が撤廃された以降も、このような体制が維持されています。一方、小規模の新電力会社の場合は、複数の事業者がグループを形成しており、相互の電力融通により需給バランスの確保に努めています。
これはバランシンググループと称され、ペナルティ回避の仕組みとして運用されているわけです。さらに、 契約した電気事業者に何かあれば、自動的に管轄エリアの大手電力会社からの送電に切り替わる仕組みが出来上がってます。そのため、PPS(新電力会社)に切り替えても安定した電力供給が維持できると言えます。
電力自由化で見逃せないのが、電力の安定供給と小売市場、そして送配電部門での公正な競争です。自由化が実現しても、市場が適切に機能しないと形骸化する恐れがあるからです。
そのため、経産省によって電力市場監視委員会が設立されています。この委員会は外部有識者による、専門性が高いものです。当委員会の役目は、大手電力会社と新電力の競争が公正に行われているかチェックすることです。既存電力が小売部門に対して、不当に低価格で電力を供給しないよう監視しています。
新電力に対しては、消費者との契約を適切に実施するようチェックしているわけです。エコエナジーのPPS(新電力会社)と契約した場合、 災害等で供給が困難になると、既存の電力会社から供給が受けられます。