ガソリンなど石油会社の市場参入


石油会社は発電にかかる燃料代をカバーできるメリットがあります。そのため原油安の現在はビジネスに追い風になっています。


電力自由化は石油会社にとって追い風
スタンド事業だけでは生き残れない
発電燃料を自前で準備できる
ガソリンスタンドとのコラボレーション
新エネルギーの開発で更に利益拡大


★スタンド事業だけでは生き残れない

 電力自由化に石油会社各社が参入することが話題になっています。エネオスをはじめとしてもービスや昭和シェル石油、エッソ、ゼネラル石油などが電力小売りに参入しています。電力自由化に参入するためには発電する施設が必要です。各家庭への送電は現在の電力会社が保持している送電線を使用することができるため発電の設備があれば電力の小売りに参入できるのです。発電は、クリーンエネルギーが叫ばれていますが、現段階では化石燃料を使用した発電がほとんどです。そのため石油会社のようにエネルギーを確保することにたけている会社は電力の参入をしやすくなります。また電力を小売りするためには顧客との接点が必要になります。石油会社は各社でガソリンスタンドを持っています。そのため顧客はスタンドの会員になるなど石油会社とのつながりはある程度あります。それを利用してガソリン価格とのセット販売などを有効活用する戦略です。


★発電燃料を自前で準備できる

 電気を発電する際にかかるコストの大半は燃料代です。クリーンエネルギーより化石燃料を用いた発電がメジャーになっている現代においては燃料代をかけて発電しているケースがほとんどです。そして既存の電力会社も高い燃料代を支払って発電を行っているのが現状です。石油の会社はこの燃料代を自前で準備できるメリットを持っています。そのため燃料代コストをを他より安くすることができます。したがって利益率の高い発電を行うことができ電気料金という形で消費者に還元することも可能になるのです。今の原油安も追い風です。原油が安いということは燃料代にかかるコストを大幅に節約できます。ガソリンスタンドで販売する商品は変動価格制を採用しているため利益率にあまり影響を及ぼしません。しかし電気料金は一定を維持することができるため原油安が継続すればそれだけ利益率を高めることが可能になるのです。


★ガソリンスタンドとのコラボレーション

 もう一つがガソリン需要の低迷です。自動車の性能の向上や若者の自動車離れ、そしてハイブリット車に代表される低燃費車の開発により給油する回数が激減しています。そのgため石油会社の主力商品の利益率が落ちてきています。この傾向は今後も継続することが想定されており、新しいビジネスの展開が余儀なくされているのです。そこで新電力サービスに参入することで売り上げの向上を図るビジネス戦略なのです。スタンドを利用する顧客とのセット割引なども利用されます。電力で利益を上げられる分、利用が少なくなったガソリン代を割引にしてもメリットは十分あります。そしてセット割引が適用となるスタンドを積極的に利用するようになるため、スタンドの売り上げも確保する事が可能になるのです。そういった意味で電力とスタンド双方にメリットを及ぼすことを見越しているのです。既存事業と新事業のコラボレーションが一番顕著に表れる業界であるのです。

★新エネルギーの開発で更に利益拡大

 石油の会社は各社生き残りをかけて統合したり新サービスを開発したりしています。家庭用燃料の販売を行うだけでなく、エネファームなどの省エネ機材の販売にも乗り出しています。今やスタンドビジネスだけでは事業の継続は難しく、石油を扱う会社にとって電力自由化は一つの追い風になっています。更に新エネルギーの開発も積極的に行っています。この開発は電力を販売することにとっては大きな利益をもたらします。今以上に発電を行うコストを低くすることに成功するのであれば、電力の販売に関する売り上げはほとんど利益に直結するからです。そのため、石油販売会社は、新エネルギーの開発に今以上に力を入れると同時に、新電力サービスを利用する顧客の囲い込みに力を入れています。スタンドに訪れる顧客に対して営業をかける、近隣の住民に対して栄養活動を行うなど積極的なアピールを各社行っているのです。